NPO法人未来への絆の誕生とその目的

 2011年3月11日東日本大震災が発生し、その月の30日に宮城県石巻市の被災地に入らせていただきました。テレビ等で知らされる甚大な被害を目の当たりにして、「救援物資を集めて、それを運び、救援活動をする」と決めました。そのことが目の前の子どもたちのためにもなるとも思ったからです。ゼロからのスタートでしたが、三重高校からのバスの無償提供、新聞での告知で大型バスの運転手3人と救援隊8人集まりました。救援物資は、中部中の生徒たちが中心となり集めました。段ボールに仕分けして、メッセージ書き込んだ救援物資は、バスに載りきらないくらいになりました。そして、動き出してから頭を悩ませた費用ですが、名前も名乗らず封筒に名前も書かずに大金を学校に置いて行かれる人、私の手に札束を握らせる人など、たくさんの方からの支援金で賄うことができました。被災された方のことを想う優しさに、子どもたちとわれわれ教職員も触れることになりました。
そして、多くの人の想いも載せて夜通しバスを走らせ、宮城県石巻市の避難所となっている湊小学校をめざしました。巨大津波の被害を受けた被災地は、想像を超える被害でした。まるで写真で見た戦場のようでした。壊れ果てた街をみて、ただただ茫然となり、天を仰ぎ「神さまこれはないよ」とつぶやくと同時に、涙がこぼれ落ちたことを思いだします。三重からの救援物資を届け、その後、小さい避難所へ救援物資を運搬する仕事や整理整頓のボランティアを夕方まで行い、バスに乗り込み、後ろ髪を引かれる思いで三重まで帰ってきました。
 学校に帰り、被災地の報告の「便り」を全校生徒に連続発行し、廊下の掲示板には写真を掲示しました。その後、10月まで月に1回、宮城県を中心に、宮城県と岩手県の被災地へのボランティアツアーを企画しました。毎回多くの市民の方や教職員が参加しました。津波の被害を受けて駐車場で練習している岩手県陸前高田市の中学校に練習試合を申込み、13時間かけて練習試合に行ったりもしました。行く前には、少しでも勇気づけられたらということで、夜に集まり歌の練習をして当日披露しました。
 ボランティアツアー後には、市民の人を対象とした被災地活動報告会を開催しました。毎回、会場には沢山の人が集まり、私たちの活動を支援する寄付は100万円を超えました。今後、東日本大震災教育的復興支援活動を続けていくことを決意すると、ダスキンレガートの中居さんが、この私たち教師の活動を法人化してやっていこうということになりました。

 こうして、NPO法人「未来への絆」は、2011年12月に誕生しました。

 本法人は、2011年11月から、教育的復興支援活動の場所を福島にシフトチェンジしています。
きっかけは、福島市の半田さんから「福島に下車してくださいよ、福島も被災地ですから」という一言でした。私は、11月福島に一人で入り、「僕は福島に残り、福島の復興のために生きていきます」と叫ぶ双葉高校の生徒と出会いました。「困っている人に手を差し伸べることに意味なんていらない」という言葉を書き込んだリストバンドを作った居酒屋の店主との出会いもありました。心打たれました。社会の中で教育のポジションでやるべき「福島復興教育的支援活動」が新たにスタートすることになります。
 2012年度より毎年、福島の子どもたちを三重の地に招き、福島の子どもたちに、「福島のことを忘れていないよ」を伝えて、三重の子どもたちに「福島を忘れない」を広める活動をしています。その事業を「子ども交流リーダー研修」別名「チャレンジドリーム」と呼んでいます。

 教育の結果なんてすぐに出るものではありません。地道なものです。

 白か黒か、平均より上か下か。社会の風潮が極端化し、両極の考えが幅を利かせ、中庸な考え方や不易な部分が端に追いやられています。極論の狭間で生きる子どもたちの本音は、子どもたち同士の中で出されることが多いです。ゆえに「子ども交流」にこだわりました。つながること、受けとめること、支えること、共にいきる社会の実現を目標としました。

 三重県に来た福島の中学生が、三重の子どもたちに、振り絞るように言った言葉が忘れられません。そして、三重の子どもたちがとった行動に、教育の可能性を感じました。2013年度の第二期生の子どもたちがこのようなレポート書きました。
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 朝起きたら家族がいること、学校に行けば仲間がいること、帰るふるさとがあること、山や川で公園でおもいっきり遊ぶこと、福島の中学生は「これは当たり前でなかった」と言った。
そして、僕たちに本音をはきだしてくれた。放射線への恐怖、友だちがいなくなるさみしさ、将来の健康不安、風評・福島差別について、深呼吸しながら、顔をこわばらせながら、吐き出してくれた。

「大人たちは、『将来がんになるかもしれない』なんて言うな!」
「私は、福島の人としか結婚できないの?」

 先生から、「何か返せる人は?」と言われて、とにかく手を挙げた。頭の中は真っ白なのに手を挙げた。初めての経験だった。とにかく僕たちがそばにいるという気持ちだけを上手く言えなかったけど、伝えた。
「僕たちはそばにいる」
「僕たちは一緒にいる」
「遠く離れていても心は繋がっている」 そんな思いだった。
福島の友だちは、表面では明るかったけど、心の奥底では、苦しんでいる、悲しんでいる、叫んでいる。
一番つらいことは、そのことをわかってもらえないこと、知ろうとしてくれないこと、だと分かった。

僕たちは正しく知ること、困っている人に手を貸すことに意味なんていらないということ、助け合う、支え合う、わかちあう社会がどんなに素晴らしいかということ、それを伝え広めて、福島から素敵な社会を創っていくということ、これは、当たり前のことだと強く思った。決して特別なことではない。

 「人が人として生きるということはどんなことなのか」ということを、この震災が、福島が、この交流会が教えてくれた。当たり前のことがどんなに幸福なのかを教えてくれた。
 僕たち2期生から、3期生、4期生、そして、10期生まで続いたときにこの当たり前のことが、ヒーローに変わる。この交流会が、この世の中にヒーローを誕生させる。
 毎日毎日、毎月毎月、毎年毎年続けるだけ、当たり前のことを本気になって続けるだけ。ただ一つだけ大切なことは、心を込めるということだ。
 本気で願う、本気で動き、本気で挑む。それが少しでも出来たら、“よし”って自分を認めて、ほめて、「ありがとう」って感謝してみる。全てのことに感謝してみる。
 僕たちは「福島を忘れない」を広める。そして、「福島を忘れてないよ」を届ける。
 福島と手をつなぎ、地域を変える、日本を変える、世界を変える
 この福島三重子ども交流実行員会がその鍵を握る。
 よ~し、僕たちはやる!!
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 2016年4月熊本地震が起こりました。
「未来への絆」は、社会の中の教育というポジションの中で何ができるのか、何をすべきなのかを今後も追及していきます。熊本の子どもたちの心のケアが必要になると言われています。2016年度は、福島と三重の交流の場に、熊本の子どもたちも招きたいと考えています。この活動を支えるのが、若い先生たちです。本法人は、若い先生たちを育む事業も同時に行っています。
子どもたちは未来であり、その子どもたちと向き合う教員は、幸せの種を蒔く、今を生きる平和ランナーです。次の世代にバトンを渡す、その役割を本気で担っている先生たちをこれからも応援します。
皆さまの温かいご支援を心より、お願い申し上げます。

更新情報・お知らせ

2016/05/26
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2016/05/24
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2016/05/24
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